星野源とゐうひと。
今日は、私の好きな人について書く。
そんな気持ちなのだ。
きょうという日は。
こんな飾ったような、格好つけたやうな文体で綴っていると、
吉村はまた格好つけて、と思われるかもしれないが、それで良いのだ。
今日は、格好良い人の文体に似せて書きたいのだ。
インスパイア、とでも言うのだろうか。
今日の僕は、星野源、という人にひどくインスパイアされている。
彼の歌を初めて聞いたのは、もう8年、9年前のこと、父について行った野外ライブでのことである。
父はYMOという3人組のバンドが好きで、コンサートにも私を連れて行った。
その3人組が出演するからと、この日も連れていかれたのだが、フェス形式で行われたこのライブで、なぜか強烈に僕の記憶にとどまった一人の男がいた。
彼はギター一本を持って現れ、サブのステージで5曲ほど歌って帰っていった。
その時は名前も定かではなかったが、
「くだらないの中に」という歌を歌っていたことがすごく印象に残った。
正直に言って、その時歌詞の意味は全然理解できていなかった。それでも、強く心を惹かれた。
その時から、僕の人生において何度も何度も星野源という人間は現れた。
特に追いかけていたわけでも、注目していたわけでもない。
しかし、好きなコント番組で芸人たちとコントをしていたり、何も知らない友達に曲を勧められたり。
そして星野源と僕は、もう一度強い思いを持って出会うことになる、と言っても私からの一方的な出会いではあるが。
それは、「星野源のオールナイトニッポン」である。
私はもともとラジオが好きであったが、注目して一つの番組を聞く、ということはそれまでしてこなかった。
しかし星野源のラジオを聞いてから、ラジオ自体への興味の度合いも大きく変わった。
そして今では、CDが発売されるごとに買い集め、ライブに行き、著書を読む、一人の星野源ファンになっている。
私は彼の言葉がとてつもなく好きである。
その前に、彼の存在感、醸し出すオーラがとてつもなく好きである。
僕はなんだか彼に似たところを感じる事がある。ある時はとてつもなく明るく、またある時は心の中の暗いドロドロした何かを表に出したような、そんな雰囲気を感じるのだ。
彼は音楽番組に出ると、まず第一声に自己紹介をする。
「こんばんはー!星野源でーす!」
この時の彼は、まるで太陽のように明るく、見ているものを明るい気持ちにさせる。
かと思ったらまた別のところで何か「負のオーラ」のようなものを感じさせるのだ。
僕は彼の音楽を聴くと、元気がでる。
明るい曲でも、静かな曲でも同様である。
明るい曲は、聴く人のテンションを2段階、3段階引き上げ、手拍子をし、腰を振って踊りだしたいような気持ちにさせる。
静かな曲は、聴く人の心に寄り添い、受け止め、支え、また次の瞬間へと足を踏み出す勇気をくれる。
彼の奏でる音楽には、そんな力があるように感じられる。
そして今日、彼の書いた文章を読んでいてふと気づいたことがある。
今年に入ってからというもの、特に最近では人のことを褒める、ということを忘れていたのである。
というより、受け止めてもらえないことを恐れて自ら避けてきたように思える。
だが彼は違う。好きなことは好きといい、素直な気持ちを伝える。
これほど素晴らしいことはないだろう。
そう思うと同時に、その勇気をくれた星野源という僕のヒーローに、大きな感謝を伝えたくなったものである。
私の文章を読んで星野源という人の歌を聴いてみたくなったなら、
「くだらないの中に」
という歌を聞いてみると良いだろう。
どこか儚げな、だが力強い彼の歌声が、貴方にひとときの安らぎと、ほんの少しの勇気を与えてくれることだろう。
吉村遼馬